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現代演劇レトロスペクティヴ 山本正典×泉寛介×岩崎正裕 トークライブレポート

 

平成30年度の現代演劇レトロスペクティヴの開催にあたり、演出を務める、コトリ会議の山本正典さん(左)と、baghdad café の泉寛介さん(右)、当館の岩崎正裕ディレクターによるトークライブを行いました。


■『髪をかきあげる』『ともだちが来た』について

岩崎:現代演劇レトロスペクティヴは今回で9回目の開催になります。関西の中堅世代に、かつての名作戯曲に出会っていただき、それを現代においてどう立ち上げるかという趣旨のもと、今まで様々な作品を上演してきました。今年度はコトリ会議の山本さんに鈴江俊郎さんの『髪をかきあげる』『ともだちが来た』を、そしてbaghdad cafeの泉さんに野田秀樹さんの『野獣降臨』を取り上げていただきます。まず、戯曲の選定について、それぞれお話いただけますでしょうか
山本:実は僕、鈴江さんが主宰されていた「劇団八時半」の最後の公演に役者として参加しておりまして。その後に立ち上げた鈴江さんのユニットでも、役者や照明スタッフ等で関わる機会があり、鈴江さんにいろいろ教えていただきました。そういった縁もあり、「コトリ会議」を立ち上げるのに、ものすごく影響を受けているんです。なので、今回のお話をいただいたとき、真っ先に思い浮かんだのが鈴江さんの作品でした。ただ、上演作品については、『髪をかきあげる』は岸田國士戯曲賞の受賞作品で代表作だと思ったのであまり迷わなかったのですが、『ともだちが来た』については悩みました。この作品は男性の二人のすごくシンプルな芝居で、戯曲の7割ぐらいをト書きが占めていて、正直、どうやってこれを舞台上で表現すればいいんだと思ったんです。それでいったん横に置き、他の作品をやりたいと相談したんですが、その作品は僕が役者で関わっていた時期の作品でして、断念しました。
岩崎:補足しますと、今回の「現代演劇レトロスペクティヴ」では、90年代までの戯曲から選んでいただこうと、取り上げる時代の幅を広げました。今までは、90年代初頭まで、すなわち、平田オリザさんや現代口語演劇が登場する“以前まで”を照準に入れて作品選択をしてきました。ですが、お二人とも80年代生まれで、今まで登場いただいた演出家より世代がひとつ下になります。そうすると90年代の作品は観ていらっしゃらない。それならば、90年代までを射程に入れてお考えいただこうという流れになりました。ただ、山本さんが提案された作品は鈴江さんの2000年代の作品だったので、再考いただいた経緯があります。
山本:はい。
岩崎:『ともだちが来た』は面白いですよ。役名が「僕」と「ともだち」。これは画期的だと思いました。あらすじもシンプルですよね。
山本:「ともだち」が訪ねてきて麦茶飲んで帰った、本当にそれだけです。
岩崎:でも、この濃密さはすごいですよね。
山本:はい。ト書きが素朴で可愛らしいんですけれども、すごく凶暴な作品ですね。
岩崎:この作品は「二人の桟敷席」という、「劇団八時半」とは別の団体に書き下ろしたものです。『髪をかきあげる』も初演は30人ぐらいしか入らないスペースだったと聞いています。だから、両方とも初演を観た人が極端に少ない作品なんです。そうした地道な作業を重ねた鈴江さんが、『ともだちが来た』でOMS戯曲賞を取り、『髪をかきあげる』で岸田國士戯曲賞を取った。その二作品を今回一挙に上演するということです。

 

■『野獣降臨』への挑戦

泉:『野獣降臨』を選んだ経緯ですが、baghdad cafeは女性が主役を担う劇団ということもあり、まず、女性が前に出る作品が良いとは思っていました。それで、アイホールから候補作品もたくさん出していただいたのですが、なかなか決まらなくて。そのときに、主宰の一瀬が提案したのが『野獣降臨』でした。最初に読んだときは、正直、全く理解できなかったです。言葉も難しいし、この戯曲をどう読み解くのがよいのかわからない…。ただ、それでも劇団員全員がこれは面白いと一致しました。理由のひとつに、言葉のイメージの飛躍力の凄さがあると思います。簡単な例でいえば、「甘い」が「飴」に、「飴」が「雨」になったりする。そしてそれがどんどん複雑に飛躍していくんですが、最終的にまとまるという剛腕が、ものすごくかっこ良くて、しびれてしまいました。もうひとつは、野田さんがされていた役の性別が明確にはされていないので、もしかすると劇団の主演女優を当て込めば、うまくハマるのではないかという思惑もありました。あと、僕が演劇を始めたころ、役者として『半神』『贋作 罪と罰』『農業少女』といった野田戯曲に知人たちと取り組む機会があり、その影響を受けて、今、脚本を書いているのではないかと感じています。僕自身の源流を探るためにも、野田秀樹さんという大きな胸をお借りして、今回、挑戦しようと思い選ばせていただきました。ただ、山口館長はすごく渋い顔をされましたが(笑)。
岩崎:僕と館長は同世代なのですが、野田さんには、一種の憧れと羨望がありますからね。『野獣降臨』の初演が1982年で、1984年に「劇団 夢の遊眠社」がこの作品で初めて関西公演を行い、それ以降、関西でも野田さんの一大ブームが起こるんです。もちろん、大学生だった山口館長は「劇団 夢の遊眠社」で野田作品をご覧になっている。当時は大学の劇研でもたくさん上演されて、野田さんを真似ようとする人もいるわけです。でも、山口館長はそれが上手くいっている例をあまり見ていない。その印象があって渋い顔をされたのだと思います。あとね、僕らの世代は、関西に新しい演劇のムーブメントが進出してきたという期待と、この新しい演劇の動きに対して矢を放ちたいという気持ちの狭間で戸惑ったんです。野田さんは僕らにとってはそういう存在でした。でも、時代は移ったので、新しい方法がきっとあると僕は思っています。

 

■鈴江さんの薫陶を受けて

岩崎:山本さんは鈴江さんの薫陶を受けて戯曲を書き始めていらっしゃって、書き始めた頃の台本は、鈴江さんの影響を感じると多数の人に言われたそうですね。
山本:そうなんです。書き方を真似しようとはしていませんが、やはり、登場人物が置かれている状況や、その人がどういう心境なのかを考えるのが好きですし、そこから芝居を始めてしまいますね。
岩崎:鈴江さんの登場人物はみんな孤独ですよね。人に囲まれて騒ぎ立てている人があまりいないですよね。
山本:でも、みんな目の前にいる人が大好きなんですよ。だけど、かける言葉が見つからなくて、会話のすれ違いがあってどんどん距離が離れていく…。やっぱり僕もそういうイメージが好きでした。
岩崎:それは現場で一緒にお芝居をつくっていて、共感したのですか?
山本:鈴江さんのダメ出しは、台本を読み解いて役者にこうあってほしいという役のダメ出しでなく、人生のダメ出しをされている感覚になるんです。昼間はアルバイトや仕事をして、夕方から時間をかけて稽古場に行って、夜から深夜まで稽古して家に帰るという日々を知っているからこそ、鈴江さんは「人生でこんな苦労をしておいて、そんな台詞しか吐けないのか、時間と金をそんなふうにしか使えないのか」から始まり、「どうせ芝居をするんだったら、その台詞に人生を賭けろ」というダメ出しになっていく…、台本に関しての解釈は一切無いんです(笑)。
岩崎:具体論がないわけ?
山本:といいますか、役者が余裕こいてピャッと演じると、もう、“岩”が落ちてくるみたいな…(笑)。
岩崎:共通チラシのエピソードですね。ここ1ヶ月でいちばん笑ってしまいました(笑)。
山本:僕が役者で参加したとき、誰よりも早く真っ先に台詞を入れて、ものすごく優越感に浸りながら、バーッと語って「ほら、できた!」とやってみせたことがあったんです。するとなぜか鈴江さんがものすごく怒っているんです。それで「今からそこに岩が落ちてくるから受け止めろ」とダメ出しを言われ…。でも、その舞台の設定が工場の宿舎の一角なので屋根があるはずで、岩は落ちてこない(笑)。意味が分からないので「鈴江さん、屋内なんですけど…」と聞いても、「いや落ちてくるから。受け止めろよっ、なっ!」って言ってくる。そうしたら「はい」って言うしかない(笑)。しかたがないので、岩が落ちてくることをイメージしながら受け止めて置くという動作をしたんですけど、鈴江さんから「もっともっと」とか「大きいだろ」とか「強いだろ、岩は強いだろ」みたいな言葉が飛んできて…。台詞も言いながらなのに、途中で「今、受け止めてない」みたいなダメもあって。そのうち、台詞も虚ろになっていくので、もう必死で一生懸命やらざるを得なくて(笑)。それで“岩”を受け止めながら台詞を言い切ったときに、鈴江さんが「それだ!」と仰ったんですね。「それ、とは…?」と言いたくても言えないうえに鈴江さんもご満悦なので、これも「はい」と言うしかない(笑)。ちなみに、次の稽古までに岩が落ちてくる演技を自分の中でマスターして披露すると、鈴江さんは「違う」と言う…。もう本当に、余裕綽々で演技をする人間が大嫌いなんですよね、鈴江さんは(笑)。
岩崎:要するに負荷をかけたいわけですね。
泉:負荷をかけるという部分に関しては、山本くんと鈴江さんは面白がり方が似ていると思いました。山本くんも、役者が舞台上で一生懸命やっていたら喜んでますよね。
山本:僕は、シーンの稽古を始める前から役者をジッと見つめていて、役者自身がどんな負荷をかけるのかを見ているんです。でもだいたい今の役者は、チョロチョロっと雑談のような台詞回しだけで、全然熱がこもっていないと感じちゃいますね。
岩崎:現代口語的な対話でも熱がいると?
山本:はい。熱は欲しいです。だから自分の稽古場では、叫ばせる台詞回しをさせた後に、それを全て自分の内に込めろ、とよく言います。あっ、鈴江さんのようですね(笑)。
岩崎:鈴江さんは明快な滑舌で朗々と語る役者が嫌いなんですよね。だから、山本くんが体験したことは、90年代に鈴江さんが獲得した方法であって訓練法ですよ。役者の自意識みたいなもので舞台に立つなという。それが今の演出家に脈々と続いているというわけですね。

 

■緩急を使って立ち上げる

岩崎:80年代演劇の『野獣降臨』に、泉さんはどう挑もうとお考えですか?
泉:僕の劇団は、普段喋っている言葉をそのまま舞台上にあげる方法で作品をつくっています。今回も基本的にはその方法で進めたいのですが、やっぱり、この台本を僕らが普段喋るような口調で読んでも全然面白くない。だからこそ、足りない部分を身体や言葉の吐き方を変えて立ち上げていきたいと思っています。あと、僕はもう少し分業ができないかと思っています。例えば、この役者は肉体的にどう動くのか、この役者は言葉をどう扱うのか、この役者は心情をどう表現するのか、シーンの雰囲気をどうつくるのか…。人で役割を割るというわけでなく、その瞬間その瞬間に、このレイヤーを使いましょうみたいなことができないか試みたいと思っています。
岩崎:野田さんの作品は脳内麻薬が出ている台詞が多いじゃないですか。やはり身体的な熱量を伴わないと台詞が置いていかれるような気もしますが、そこをどうするのか、ですね。以前、コトリ会議とbaghdad caféの合同公演を拝見したのですが、山本さんの台本を泉さんが演出してまして、台詞がものすごい勢いでキャッチボールされている印象があって、演技のスタイルが分離しているという感じはしなかった。だから今、泉さんの演出の手順がどうなっているのか、すごく気になります。特に最近、様々な作品を演出されていますが、泉さんの作業のなかで、今まで積み上げてきた方法を、この作品でも活かすことができそうだという感触はありますか?
泉:僕も山本くんと同じで、熱量は嫌いじゃないんです。ただ、内にすごく熱いものを持っていて、それを閉じ込めたうえでの抑制された演技のほうが僕は好きです。でも、それとは別で、騒がしいシーンをつくることも好きです。だから、跳ね上がるようなシーンもあれば、ものすごく間を取ってじっくり動かないシーンもあるし、ものすごく喋るシーンもある。こうした方法を行き来するのが僕の手法かなと思っています。そうした緩急を上手く配置していけたらと思っています。
岩崎:僕の世代にとって「劇団 夢の遊眠社」は、“跳んだり跳ねたり”の代名詞だったんです。とにかく止まらない、ずっと舞台を駆け巡っている印象があった。でも、泉さんはそうでなくてもやれる可能性があると思ってらっしゃる?
泉:そこまで大それたことではないですが、それなら立ち向かえるのではないかと。
岩崎:昔、『新劇』という雑誌に柄本明さんが役者論を書かれていて。ちょうど「静かな演劇」が出てきたころで、「静かな演劇を静かにやっている奴は馬鹿だ」と書かれた。それは内面の熱量の話で、静かな芝居ほど内側が必要だと彼は言いたかったのでしょう。今、その言葉が僕のなかで直結しました。つまり、『野獣降臨』も内発するエネルギーみたいなもので、じっくりやれるシーンもあるということですね。
泉:そう思っています。この作品は、プロボクサーとして1勝しかあげられずに挫折した青年が主軸として物語が流れ、そういう挫折や孤独が描かれていると思います。もしかしたら当時の野田さん自身が何か孤独や疎外感を感じていたのではとも考えてしまいました。
岩崎:SPACの鈴木忠志さんが割と初期から野田さんをすごく評価したんです。野田秀樹も突然変異でなくアングラの系譜があって生まれたみたいなことを何かに書かれていて…。80年代の野田さんの戯曲は、少年性を語るということでも新しかった。確かに、戯曲から情念は感じないよね、女と男のドロドロとかは。
泉:ないですね。カラッとしている。
岩崎:あと、野田さんはとにかく舞台に立つ人だった。それで、今度シアタートークにお越しいただく高都幸雄さんが演出補としてついて、客席から舞台を観ていらっしゃったそうです。
泉:確かに、演出的なことは周りがどう支えていたか気になります。初期の野田さんは、作家としても演出としても優れていますが、やっぱり役者。野田さんの跳びはねるのを観たいというファンも多かったと聞きます。
岩崎:実はね、平田オリザさんは最初から「静かな演劇」をやっていたのではなく、初期は「飛んだり跳ねたりしてた」とご本人が答えていました。でも、平田さんは何か違うなと思ったわけです。それぐらい80年代に野田さんが編み出した方法論は圧倒的だったんですよね。そして、平田さんは現代口語演劇をつくっていく。鈴江さんも京都の老舗劇団に在籍していた反動で、「劇団八時半」を立ち上げ一人孤高の道を選び、“岩”が落ちてくる演出を発見した。つまりね、観客動員数が右肩上がりに伸びて時代の象徴でもあった野田さんの演劇と、孤独と向き合い少人数に向けてものすごい熱量でやってきた鈴江さんの演劇。今回の現代演劇レトロスペクティヴは、『野獣降臨』を観ると80年代が分かり、『髪をかきあげる』『ともだちが来た』を観ると90年代が分かる、そういう時代の変遷も見えるのではないかと思っています。

 

■80年代から90年代へ

泉:岩崎さんにお聞きしたいのですが、バブル期直前の、とにかく声を張り上げていこうという空気感から、現在の演劇の表現になるまでの変容を見ていらっしゃいますよね。僕、『野獣降臨』を読んだときに、どうしてこんなに狂騒的なのだろうと思ったんです。
岩崎:僕が1982年に大阪に出てきたときは、とてもカッコいい演劇がいっぱいあったわけです。つかこうへいさんの作品をされてる先輩とか、プロレスをまじえてエネルギーがバンバンでやっている先輩とかがいるわけで、こういうふうに作らなきゃいけないという脅迫感はものすごくありましたね。
泉:取り残されるみたいなことですか?
岩崎:それもありますし、舞台ってすごく彩られた世界で展開しなきゃいけないという思いが強かった。そのなかで僕の初期は如月小春さんを選びました。世界は終わっていて砂漠かもしれないという終末感から入るんです。でも、台詞にはすごく熱量があって、みんな舞台上を動きまくらなきゃ作品が立ち上がらなかった。それにだんだん疲弊してくる仲間が出てくるんです。あるとき、僕の劇団が東京公演の小屋を探していたとき、ウイングフィールドの中島さんがアゴラ劇場を提案してくださって、そこでいろいろ案内してくれたのが平田オリザさんだった。小屋守りとして劇場の使い方を説明してくれたり、終わったあとに一緒に飲んでくれたんです。そこで演劇論を交わして、でも完全に論破されて…。未だに歯を食いしばって酒を飲んでいたのを覚えています。そのときに初めて僕は「静かな演劇」を観るんです。内田百閒原作の『阿房列車』を平田オリザさん作でやっていたのですが、これが面白かった。で、関西に目を向けると、松田正隆さんや鈴江俊郎さんが出てきていた。それで、僕も関西弁で書かないと、このまま演劇を続けていたら、“跳んだり跳ねたり”に巻き込まれて疲弊してしまうと思った。つまり、90年代初頭、景気が冷え込んだときに、周辺を見て自分と向き合った作業をしようという人が日本に複数いたんです。だからやっぱり転換期だったんだと思います。そして90年代のひとつの方向性が出来上がっていって、鈴江さんから山本さんが生まれたということに繋がるのかと思います。
山本:なるほど。
岩崎:泉さんは誰かをお手本にしたということはあるのですか?
泉:僕はそういった薫陶を受けていなくて…。最初、大学の知人が演劇をやっていて、男役がいないと言われ「じゃあ、僕がいきまーす」と軽い感じで演劇を始めました。そのあと一度演劇やめようと思った時期もあったんですが、それでも続けていたので、だったらしっかりやってみようと少しずつ勉強して今に至る感じです。いろんな人の芝居を観て「この演出が面白いから真似してみよう」とか、そういうことで試行錯誤してきました。だから僕、関西小劇場界の「ベスト・オブ・中途半端」と言われているんですよ(笑)。
岩崎:逆に言うと、同世代で、山本さんのように実際に出会いがあって、というケースは少ないのかもしれませんね。だからかな、泉さんは人の話をよく聞いてくれます(笑)。僕、演出はまず受け入れないと何も始まらないと思うんです。俳優含め全てのスタッフワークを上手くパイプで繋いでいければいいわけです。泉さんはそっちのタイプですね。
泉:調整するのが得意だと自分でも思っています。

 

■アイホールの空間について

岩崎:最後に、アイホールの空間でどんなことをやろうとお考えか、お聞かせください。
泉:アイホールは密閉されたボックスのような空間だと思います。なので、野田青年の脳内の状況を、空間ごとに変えていくようなことを試みたいと考えています。観客の視点は一点に集中するけど、それこそVRのように空間はグルグル変わっていく、そんな体験をしていただけたらと思います。
山本:一点に集中させることは僕も考えています。二作品でセットも照明もある程度変える予定ですが、アイホールが正方形の空間で、一筋の光がすごく映える劇場だと思うので、それを効果的に使いたいと思っています。
岩崎:コトリ会議のシアタートークには作家ご本人が来られますね。
山本:そうですね。照明はいまだに鈴江さんから受けた影響が強いので。
岩崎:鈴江さんはなんでも手作業で全部やるという思想ですよね。
山本:そうなんです。だから、もうかなり挑戦です。当たって砕けようと思っています。
岩崎:お二人の挑戦、楽しみにしています。

(平成30年10月8日@アイホール)

 

平成30年度現代演劇レトロスペクティヴ

■コトリ会議『髪をかきあげる』『ともだちが来た』
作:鈴江俊郎 演出:山本正典
11月15日(木)~18日(日)
公演詳細

■baghdad café『野獣降臨』
作:野田秀樹 演出:泉寛介
12月22日(土)~24日(月・休)
公演詳細