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『イタミ・ノート』ごまのはえインタビュー

「地域とつくる舞台」シリーズ アイホールがつくる「伊丹の物語」プロジェクト『イタミ・ノート』について、本プロジェクトの構成・演出を手がけた、ごまのはえさんにお話しいただきました。

 

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■アイホールがつくる「伊丹の物語」プロジェクトについて

 このプロジェクトは、「写真」という媒体から伊丹という地域の歴史や人の記憶を紐解き、それを一つのお芝居に創り上げるという企画で、三年計画で昨年度(平成27年度)から始動しました。

ごまのはえ
ごまのはえ

 一年目は、市民から写真とそれにまつわるエピソードを集めるところから始め、茶話会を開催し、写真提供者から直接、写真のエピソードや昔の伊丹についてインタビューをしてきました。そのなかから、興味のあった、記憶に残ったものをピックアッ プし、ラスタホール(伊丹市立生涯学習センター)伊丹市立図書館ことば蔵で、写真&エピソード展を開催しました。

 二年目の今年は、「写真と演劇」をテーマに、一年目で集めた写真とエピソードをもとに台本を書き、短いお芝居をアイホールで上演します。ロビーでは写真展を常時開催し、定刻がくるとホール内でパフォーマンスが始まります。舞台上にも役者が演じるスペースの他に、写真を映し出す大きいスクリーンがあって、芝居に合わせて写真を投影、もしくは、写真に合わせて芝居をするといった感じです。例えば、役者がカメラのシャッターを押す演技をしたら、スクリーンにその話に沿った写真が出てくるといった感じで、演劇と写真をミックスさせています。

 三年目は、プロジェクトの集大成として一本のお芝居を上演します。

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― 一年目の茶話会にて ―

茶話会の様子
茶話会の様子

 茶話会を前にして、どんな写真があつまるか楽しみにしていました。茶話会では、写真と持ち主であるご本人と一緒に対面し、ご本人から写真にまつわるエピソードを聞いて、何気ない話にも色々な歴史や思い出の深さが感じられました。また「家族」としてちゃんと写真を残しているということにとても感心しました。他にも、結婚して伊丹に来た時の話や、同居していたお姑さんに対するグチなど今だから言えることを、写真を見ながら話してくださいました。家の歴史が写真によって、きちんと整理されていて、とてもわかりやすかったです。

 

 2回目の茶話会では、90才くらいの男性がたくさん写真を持ってきてくださいました 。この方が持ってきた写真は、風景が多く、特に印象的だったのが、今回の作品のひとつにもなった、阪神大震災直後の街の様子や、倒壊した阪急伊丹駅や猪名野神社の境内などの写真をたくさんお撮りになっていたことです。口数も少ない方だったので、2時間あった茶話会の終わりかけくらいにやっと口を開いてくれて、自分が8人兄弟の長男であることやご健在である兄弟の話、会社勤めしていた頃のことや、自治会長をしていた頃のことなど、プライベートな話も伺うことができました。この茶話会で生まれた作品が『崩れた灯籠、瓦礫の境内』 です。

 

― 立ち話から生まれた作品 ―

ラスタホールでの展示
ラスタホールでの展示(2016年3月)

 写真展最初の会場となったラスタホールの展示では、昭和40年代に撮影された写真を観ながら、「これは万博(大阪万国博覧会)の頃やな。この時な、国道171号線に象が来てな~」とおっしゃるおじさんが来られました。展示を観ていたら、思い出したんでしょうね。この方は、「伊丹では、そりゃ、有名な話やで」と言って帰られたのですが、また別の年配の方が来館されたので、象の話を伺ってみたところ、ご存知で、なんと、写真まで持っておられたんです(笑)。早速、翌日写真を持ってきてくださり、立ち話ですが、お話を伺うことができました。タイから神戸港についた象が疲れて、武庫川で休憩していたとか、「象が来たッいうて、飛んで 見に行った」など、聞いているこっちも興奮してしまうぐらいのパワーで話してくださいました。この象の話は、とても面白いなと思い、『国道171号線を行く象』という作品をつくりました。

 2回目の会場のことば蔵では、「昔はこんなんやった」と話をしてくれたユニークなおじいさんが来られました。当時12才の少年だった戦争中に、猪名野神社の防空壕に逃げ込んで怖い思いをした話や、アメリカ軍の兵隊がやってきたことなど、戦中から戦後まもない伊丹の様子を話してくださいました。この方は、ことば蔵の展示期間中、毎日のように来てくださって、1日目はぼくが3回、2日目はことば蔵の外で、3日目はスタッフが聞いて…。何回この話聞いたんでしょうねっていうくらい(笑)。くり返し、くり返し話されるので、落語みたいで面白かったです。

 

■『イタミ・ノート』について

 こうして、市民との茶話会や立ち話から、全部で六本の短編作品をつくることができました。

 Aプログラムは「家族編」、Bプログラムは「街並み編」として、それぞれ、3作品ずつあります。Aプログラムの一番目は、戦後、伊丹の昆陽(こや)で、ある商店を開かれた方とその家族の話。二番目が、国道171号線沿いに住んでいる家族が象の行進と出会う話。三番目は、’80年代の頃の少年野球の話です。これは、古い写真が多くなって、現在に近い‘80年代の写真がごそっと抜けていたのですが、この頃の話が書きたくてやや強引につくったお話です(笑)。伊丹は、読売ジャイアンツの坂本勇人さんや、メジャーリーグで活躍している田中将大さんなどの有名選手を生み出している少年野球の盛んな街ですし。

itami-note1 Bプログラムの一つ目は、茶話会から生まれた作品のひとつで、宮ノ前にお住まいの男性の話で、’95年の阪神大震災直後の街の様子を写真におさめておられた時の話です。一人の役者がこの男性になり代わって、カメラ片手に写真を撮り、シャッター音に合わせてスクリーンに写真が投影されるといった演出です。二つ目は、この企画を進めて行くなかで知ったのですが、伊丹が震災を境にして街並みがずいぶん変わったそうです。アイホール周辺も昔は古い住宅が多かったのに、今や高層マンションがあちらこちらに建っています。その新しく建ったマンションに引っ越してきた住人と、昔から住んでいる方との交流や行き違いを描いた作品です。最後が、昨年のことば蔵の展示で出会ったおじさんの話です。これも一人の役者がこの方を演じます。戦中、戦後の伊丹のことがたくさん出てくるお話しです。

 

― 『イタミ・ノート』の見どころと三年目への意気込み ―

 一年目の茶話会と写真展を通じて、普段、出会うことのない年代の方とゆっくりお話を伺うことができたことは、ぼく自身とても有意義でした。以前つくった作品で『ヒラカタ・ノート』がありますが、これは、大阪府枚方市がぼくの地元だったので、自分の独断で創作することができました。今回の『イタミ・ノート』は、「伊丹のことを知る」というところからつくった作品なので、お客さんの反応が楽しみです。両プログラム、それぞれ50分ほどで、一作品約10~15分ほどのショートストーリーで構成しています。生演奏もあり、笑いもありなので、初めて演劇を観る方でも身構えずに、気軽に観てもらえたらと思います。

 三年目は、いま探りつつあるのですが、主にAプログラム2話目の「象の話」をメインに掘り下げていこうかなと考えています。が、まずは、今年のプロジェクト二年目を観ていただけたらと思っています。地元の方はもちろん、そうでない方にも楽しんでもらえる作品ですので、ぜひ、みなさんのご来場をお待ちしております!

 


 

「地域とつくる舞台」シリーズ
アイホールがつくる「伊丹の物語」プロジェクト
『イタミ・ノート』

平成28年
10月14日(金) 14:00~21:30
10月15日(土) 10:00~21:30
10月16日(日) 10:00~17:30
※入場/終了30分前まで

詳細は、「コチラ」