『ドグラ・マグラ』をモチーフに、“狂おしく生きる力”を清々しく描く、女優二人芝居。


『DOWMA』(ドーマ)は、1980年代の小劇場ブームをけん引し、現在も小劇場界の最前線で精力的に創作活動を続ける北村想が、「空の驛舎」のために新たに書き下ろした女優二人芝居。原作の『ドグラ・マグラ』は、日本探偵小説三大奇書のひとつと言われ、「本書を読破した者は必ず一度は精神に異常をきたす」と評された夢野久作の代表作。本作は、その世界観を換骨奪胎した新しいミステリー作品です。
出演は作者が信頼を寄せる関西の女優、船戸香里と津久間泉。船戸は『MONO語り 怪人二十面相・伝』(2005年)で、津久間は『MONO語り マスク・THE・忍法帳〜怪人二十面相・伝・外伝〜』(2008年)で、それぞれ北村想の書き下ろしの一人芝居に挑み、好評を博しました。また、伊丹想流私塾で北村に薫陶を受けた中村賢司が監修を手がけ、空ノ驛舎が演出を務めます。
北村戯曲の醍醐味を知り尽くす関西の女優とスタッフがおくる清々しくも力強い舞台です。


【日時】2014年10月10日(金)19:30/11日(土)15:00★1/12日(日)18:00/13日(月・祝)14:00★2
★終演後、アフタートークを行います。【ゲスト】★1:北村想(劇作家)、★2:土橋淳志(劇作家、演出家 A級MissingLink)
※受付・整理券発行は開演の40分前。開場は開演の30分前。
※小学校低学年以下のお子様のご入場はご遠慮ください。
※演出の都合上、開演直後はご入場いただけない場合がございます。

【会場】AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)兵庫県伊丹市伊丹2-4-1 TEL:072-082-2000

【料金】前売=2,500円 当日=2,800円 (全席自由)

【チケット取扱】
◯空の驛舎
WEB:http://www.plaza.rakuten.co.jp/soranoeki/
TEL:090-4766-8751(留守番電話の場合はご用件を録音ください。)
MAIL:naken4saru@docomo.ne.jp(件名に「DOWMA予約」として、お名前、ご来場日時、枚数を明記ください。)
◯AI・HALL/TEL:072-782-2000(火曜休館)

【スタッフ】
演出補佐:高橋恵(虚空旅団) 演出助手:山本彩 舞台監督:武吉浩二(Quantum Leap) 舞台美術:岡一代 照明:池辺茜 音響:大西博樹
写真:古石洋平(St.ONE) 監修:中村賢司 宣伝美術:松本ユウコ 制作:尾崎雅久(尾崎商店)・空の驛舎 カンパニーメンバー:三田村啓示、石塚博章
助成:芸術文化振興基金 提携:アイホール 主催:空の驛舎

【お問い合わせ】
◯尾崎商店 TEL:090-3944-9902 MAIL:zakkin@mte.biglobe.ne.jp
◯アイホール TEL:072-782-2000


「ブーン」という奇怪な音で主人公の青年は目覚める。そこは精神病棟の隔離部屋で、彼は記憶喪失状態であった。そして、その場にいた医者(若林)に「精神異常を利用した犯罪に巻き込まれたのだ」と告げられる。医者に見せられた数々の資料を読むうちに、青年は記憶を取り戻していく。また、医者と「狂人の解放治療」の研究者・正木教授との確執も暴かれていくなか、やがて青年は衝撃的な事実に直面する…。


 

「フナオさんとツクマくん」
フナオさんは関西に二人いる天才女優のうちの一人です。ここに東京の女優を含めても、五人のうちに入ると思います。私も天才ですが(ですからキ○ガイなんですが)、フナオさんの場合は精神的にもヒジョウに健康です。読み合わせをしながら「この本、読み合わせしているとナンカ眠とうなるわ」と、作者を前にして悪気なくいえる貴重な女優さんです。日常的に私のストライクゾーンに入らないのは、背が高いのと、飲むとオヤジになるからです。
ツクマくんは女優という稼業がなかったら不幸な人生をおくっていただろうと思えるくらい、女優が天職だったなあと思えるひとです。劇作家(物書き)渡世は私の天職ですが、そのあたりが同じです。不幸にならずによかったですね。ツクマくんは私がつまらん冗談をいうと、小声ですが「アホッ」と悪気がなくいえる貴重な女優さんです。他のひとは聞いてナイふりをなさいます。ストライクゾーンに関しては、私、美人系はタイプではナイのです。
夢野久作の『ドグラ・マグラ』は、後半が、めくるめくオモシロイんですが、たいていの読者は冗漫な前半で投げ出します。今回は、『ドグラ・マグラ』のオモシロイ部分だけを脚色・劇化しました。投げ出すことなく最後まで楽しめると思います。(北村 想)


本作品は『ドグラ・マグラ』を下敷きにした本格ミステリ戯曲である。まず、何が起こったのか? 次の展開はどうなるのか? 犯人は? といった上質なミステリ小説を読んでいるようなワクワク感を大切に立ちあげたいと思います。
また、ヒトは何故、演劇をするのか? 演劇を観るとはどういう行為のことなのか? 物語の展開をたどることによって、観客の皆様と演劇論・観客論について追体験したいと考えています。
人間の本質には「狂い」があると考えます。「狂い」は否定的にとらえられがちな言葉ですが、高度情報化社会、システム社会、不条理な災害等、現代社会を生きる私たちにとって、狂っていないと生きていけない側面があるのも、また事実ではないでしょうか。
積極的に「狂おう」ではないか、という狂気を肯定する考えが、この戯曲の根底にあります。
現代社会に押しつぶされることなく「狂おしく生きる力」を提示し、困難な時代に「生きていく力」を観客とともに手に入れたいと考えております。(空ノ驛舎)


空の驛舎


2003年、劇作家・演出家の中村賢司を中心に結成。大阪、兵庫を拠点に活動を続けている。「ヒトとヒトの関わりを大切にした劇世界の構築」と「矛盾を背負う人間のリアリティの提示」を標榜し、コミュニケーションの欠落による関係性の闇や社会問題などを取り上げた作風に特徴がある。
座付作家の中村は、伊丹想流私塾第3期修了後、第6期から第12期まで同塾の師範を務め、塾長・北村想氏の薫陶を受ける。『てのひらのさかな』で第10回OMS戯曲賞佳作を、『追伸』で第20回OMS戯曲賞大賞を受賞。他に第3回かながわ戯曲賞最優秀賞、第22回名古屋文化振興賞戯曲の部佳作を受賞。
「空ノ驛舎」とは空の驛舎演出部の総称。戯曲の劇世界を豊かに立ち上げる演出力に定評がある。

『MONO語り 怪人二十面相・伝』(2005年)
AI・HALL+北村想プロデュース 写真撮影/石川隆三
『under-ground』(2011年)
『追伸』(2012年) 
第20回OMS戯曲賞受賞作。
『ライトハウス』(2014年)