北村想/Soh Kitamura


劇作家・小説家・エッセイスト。1952年生まれ。滋賀県出身。79年に発表した『寿歌』は、80年代以降の日本の小劇場演劇に大きな影響を与えた。84年、『十一人の少年』で第28回岸田國士戯曲賞を受賞。90年、『雪をわたって…第二稿・月のあかるさ』で第24回紀伊國屋演劇賞個人賞を、97年、ラジオ・ドラマ『ケンジ・地球ステーションの旅』でギャラクシー賞を受賞。2014年には『グッドバイ』で第17回鶴屋南北戯曲賞を受賞。現在までの執筆戯曲は200曲をこえる。
また、小説『怪人二十面相・伝』は、『K-20 怪人二十面相・伝』として映画化(出演:金城武・松たか子)されるなど、戯曲だけでなく、小説、童話、エッセイ、シナリオ、ラジオドラマ、コラムなど、その活動範囲は広い。
近年では、戯曲集『寿歌-全四曲-』(12年)や演劇論集『恋愛的演劇論』(13年)を刊行。
今年で19年目となる戯曲塾「伊丹想流私塾」では、塾長として後進の育成にも注力している。


『寿歌』  
初演:T.P.O師団(1979年)


核戦争後の荒野を舞台に、旅芸人ゲサクとキョウコによる神聖喜劇。80年代以降の日本の現代演劇に多大な影響を与えた金字塔的作品。戯曲から漂う“明るい虚無感”が今もなお人々を魅了し、様々な劇団で上演される北村想の不朽の名作。


写真/プロジェクト・ナビ(1996年)より
[演出:北村想 左より、佳梯カコ、久川徳明、中原和宏]


『十一人の少年』
初演:彗星‘86(1984年)


ドイツの童話作家ミヒャエル・エンデ『モモ』に想を得た、第28回岸田國士戯曲賞受賞作。想像力と未来を奪う泥棒と対峙する11人の少年たちと、盲目の少女「スモモ」と職場演劇人「青木」が紡ぐ空想の物語。


写真/初演より
[演出:北村想 左より、小林正和、神戸浩]


『悪魔のいるクリスマス』
初演:流山児★事務所(1984年)


流山児★事務所に書き下ろし、何度も繰り返し上演された同劇団のヒット作。クリスマス・イブの夜に出会った劇作家と少女と営業マンが、現実と夢、生と死、この世とあの世を往来する優しくも残酷な異色のメルヘン・ミュージカル。


写真/初演より
[演出:流山児祥 左より、美加理、九十九一、塩野谷正幸]
写真提供/流山児★事務所


『雪をわたって…第二稿・月の明るさ』
初演:プロジェクト・ナビ(1990年)


宮沢賢治『雪わたり』をベースに、宮沢作品をいくつか組み合わせたファンタジー仕立ての作品。ラストシーンで、木に生るトマトが、光り輝く演出が印象的な舞台。作・演出で第24回紀伊國屋演劇賞・個人賞を受賞。


写真/初演より
[演出:北村想、左より、小林正和、木村庄之助、黒田啓之]


『砂と星のあいだに』  
初演:AI・HALLプロデュースVol.1(1990年)


AI・HALLプロデュースの第1弾として上演。砂漠に不時着した老飛行士と若い飛行士が、様々な国の人々と出会う物語。主演は新宿梁山泊の金守珍。


写真/初演より
[演出:洞口ゆずる 左より、金守珍、小田豊]


『青いインクとトランクと』
初演:プロジェクト・ナビ(2003年)


プロジェクト・ナビ最終公演。ラジオドラマ『ケンジ-地球ステーションへの旅』をもとに、宮沢賢治の童話・戯曲・書簡・詩などの著作をコラージュしたオリジナル作品。


写真/初演より
[演出:北村想 左より、小林正和、伊澤勉]


『この恋や思いきるべきさくらんぼ 〜夏Ver.〜』
初演:平成24年度AI・HALL自主企画 <北村想の座標/現在>(2012年)


2004年に大阪の劇団・清流劇場に書き下ろした同名作の夏バージョン。映画監督・川島雄三をモデルに、軽妙洒脱な会話と不器用な男の機微、そして女性の潔さ・強さを情感豊かに描いた三人芝居。


写真/初演より
[演出:北村想、左より、蟷螂襲、片岡百萬両、船戸香里]
写真撮影/石川隆三


『寿歌Ⅳ-火の粉のごとく星に生まれよ』
初演:平成25年度AI・HALL自主企画
    reading revolution マリンバと物語の響演(2013年)


『寿歌−全四曲』(白水社、2012年刊)に収録されたシリーズ最新作で、『寿歌』『寿歌Ⅱ』『寿歌西へ』の円環を閉じる最終章。マリンバ&パーカッションの生演奏とともに、ドラマ・リーディングとして上演。


写真/初演より
[演出:北村想 音楽:新谷祥子 左より、桂九雀、船戸香里、ごまのはえ]
写真撮影/石川隆三


『グッドバイ』  
初演:シス・カンパニー(2013年)


第17回鶴屋南北戯曲賞受賞作。シス・カンパニーと北村想がタッグを組む新作戯曲シリーズ<日本文学シアター>の第1弾として上演。太宰治の未完の絶筆『グッド・バイ』をモチーフにした、可笑しくてちょっと切ない北村版“ラヴ・ロマンス”。


写真/初演より
[演出:寺十吾、左より、蒼井優、段田安則]
写真撮影/谷古宇正彦