初演時チラシのカラーコピー。左が表面で右が裏面。
 表面のタイトル横に記載されたコピーライトは「これはかつて学生であったあなたと いま学生である君との共通のドラマ 激動し転換する青春の今日を見つめる過去」。安保闘争後の世相を反映した作品であることが感じられる。
 また、裏面のど真ん中に広告が掲載されているあたりに、現在と初演時の時代背景の違いがうかがえる。

 初演時の舞台写真。1968年9月21日~30日に劇団三十人会公演№15として紀伊國屋ホールで上演。18人の俳優が出演する中に岡部耕大(当時は岡部耕太)や、二瓶鮫一、大橋芳枝、湯浅実など、現在も活躍するベテラン俳優、演劇人たちが参加していた。

 初演時のパンフレット。チラシにも描かれている表紙の人物の絵を見て、秋浜氏をよく知る方々が「先生に似ている」と口をそろえるのが印象的。
 パンフレットの内容は読み応えある対談や寄稿が中心となっている。
 中でもページを割いているのが詩人、長田弘と秋浜悟史の対談。それぞれ「演劇」と「詩」に拠を置く者同士が「言葉」の可能性や意味について、作品を絡めながら展開している。

 寄稿された原稿の数々。
 三十人会で1965年から作・演出を担当していた劇作家で演出家のふじたあさや、出演者の植田譲、日本文学・演劇研究者の工藤隆、劇作家の清水邦夫。それぞれの立場から文章を寄せている。

 劇団三十人会で上演された秋浜悟史作・演出作品の写真も紹介。左から『英雄たち』(1963年)、『ほらんばか』(1966年)。

 同じく『しらけおばけ』(1967年)、『ボラーノの広場』(1968年)。


 1991年3月に上演されたピッコロ演劇学校本科8期生の卒業公演『太郎の苦労』(作・佐伯光子)稽古風景。演出を担当した三枝希望の横で、演出指導で携わった秋浜悟史が全体の様子を見守っている。


※敬称を略させていただいてます。掲載資料は秋浜悟史さんのご家族、
ピッコロシアターさん、三枝希望さんよりご提供いただきました。