劇団早稲田小劇場アトリエ公演№10として上演された、『少女仮面』初演時のパンフレット。アングラ演劇の先駆者である唐十郎と鈴木忠志の「演劇論」ともとれる原稿が掲載されている。
 パンフレットの中で、唐は、アントナン・アルトーを例に挙げて、当時の新劇に対する懐疑的な意見を述べるほか、俳優の「肉体論」にも言及。また、鈴木もそれに同意するかのように、古典芸能、新劇に対する批判を述べ、「そのなかで唐十郎ほど、彼の演劇行為の必然性を深く高い水準で我々に提示し続けた演劇人はないように思う」と記している。

 裏面を見ると、メインキャストは、同時上演された『劇的なるものをめぐって…Ⅰ』と掛け持ちで2~3役を演じていたことがわかる。
 二本立て公演の入替案内に当時の息遣いを感じる。

 『少女仮面』は、昨年、唐十郎が客員教授として招かれた明治大学でも授業の一環として上演された。その際に唐十郎が使用した台本と、「ピース分割」と記された「シーン解釈の手引き」と目される唐十郎直筆による原稿。ちなみに台本表紙のリボンは本人によって結ばれたそうだ。氏のこのような少女趣味的なセンスは意外に思われるが、関係者の間では、結構、有名とのこと。

 1970年、學芸書林により『少女仮面』の戯曲が書籍化された際の初版本。早稲田小劇場によって上演された初演時の舞台写真も収録されている。

 左より少女貝を演じる吉行和子と、春日野八千代を演じる白石加代子。
 左より少女貝、ボーイ主任(蔦森皓祐)、老婆(高橋美智子)。

 1976年、白川書院より発刊された『唐十郎と紅テントその一党―劇団状況劇場1964-1975』より舞台写真二種。『少女仮面』の状況劇場での上演は、1971年8月・9月に吉祥寺名店会館裏、渋谷西武駐車場にて行われた。

 左が唐十郎、石原由起子の2ショット。右の写真が左より唐十郎、麿赤児、水谷潤治。

 別ページでは麿赤児と根津甚八の2ショットを掲載。

※敬称を略させていただいてます。掲載資料は劇団唐組さんよりご提供いただきました。