「break a leg(ブレイク ア レグ)」とは、これからパフォーマンスを始める人に向かって「成功を祈る」という意味で用いられるフレーズ。 本企画では、アイホールで上演機会のなかった若手表現者に会場を提供し、次代を担う才能の発掘・育成を目指しました。 ファイナルとなる今回も、新風を吹き込んでくれる表現者たちの競演にご期待ください。
努力クラブの作品世界は徹底してネガティブでありながら清々しい。世間一般からは蔑まれ、疎まれるような人物を、合田団地さんの眼差しは優しく掬い取ろうとする。シニカルな笑いにまぶして。現在、身動き出来なくなってしまった社会と努力クラブの生み出す新作は響き合うのだろう。
プロトテアトルは対話劇の高みを目指していると感じた。演技者の質の高いアンサンブルは演出者との綿密な作業からしか生まれない。スタッフワークの総合力がしっかりと劇に厚みを与えている。再演とのことであるが、FO ペレイラ宏一朗さんは加筆修正に意欲ありとのこと。仕上がりに期待したい。
さて10回目を数えるbreak a legであるが、今回で一区切りとなる。区切りなど必要ないはずだ、と本音では思う。これまで関わってくれた団体が活動を継続してくれることで、これまでのアイホールは報われる。問題はこれから。
アイホール・ディレクター 岩崎正裕
努力クラブは京都・大阪・東京に至る広範囲で、秀作を驚異のペースで量産してきました。細やかな心の機微を掬いとるミニマルな会話劇を土台とし、ペーソスを交えたユーモアでコーティングされた等身大の後ろ暗い感情がふいに爆発したりしなかったりする独自の劇世界が、ダメダメな今の世界をどう映すのか映さないのか。プロトテアトルは実験性を巧みに紛れ込ませた端正な戯曲と、それを誠実に立ち上げる演出、また外部出演でも際立った個性を見せる俳優陣の安定した実力も相まって、信用に値する堅実な歩みを進めてきました。両団体とも積み上げてきたキャリア・実力とも申し分なく、アイホールには満を持しての登場と言えます。
さてこのbreak a leg、今回でおしまいらしいです。なんじゃそれー。ゆくゆくはもっともっと色んな新しい風をアイホールに吹かせたかった。まあだからといってもちろん両団体には有終の美なんて飾らないでいただきたい。世の中むちゃくちゃなので、ケガしない程度にむちゃくちゃやってください。
努力クラブ[京都]
2011年に合田団地と佐々木峻一を中心に結成。京都を拠点に活動。神戸アートビレッジセンター「KAVC FLAG COMPANY 2020-2021」、ロームシアター京都×京都芸術センター U35創造支援プログラム“KIPPU”2022年度に選出。また、作・演出の合田団地が京都芸術センター「KAC Performing Arts Program 」にて委託を受け作品制作を行うなど、精力的に活動している。 ネガティブな題材を用いてコメディをする。なんとなく嫌なものに対しての救いになりたいというのが、僕らの希望です。嗚呼、駄目なものに対して優しくありたい。 https://doryokukurabu.blogspot.com/
プロトテアトル[大阪] 「protothéâtre=試作劇場(あるいは試作演劇)」
2013 年 6 月、主宰 FOペレイラ宏一朗を中心に近畿大学に通う同級生で旗揚げ。扱う作品に決まった形はないが、誰もが共感できる出来事を扱うことが多い。静かでリアルな会話を主とし、観客の過去の思い出や経験を呼び起こす。「借景」に似た作り方をしている。短編演劇祭『フェスティバル』など、本公演だけでなく独自の企画や、ペレイラの母校でもある京都の夜間定時制高校を舞台にした作品で学校公演なども行っている。
2015年、ウイングカップ 5 最優秀賞受賞。2019年、KAVC FLAG COMPANY 2019-2020に選出。同年、『どこよりも遠く、どこでもあった場所。あるいは、どこよりも近く、何もない。』が第26回OMS戯曲賞の最終候補にノミネート。 http://www.prototheatre.com/
次世代応援企画break a leg 関連企画 「試作と努力、舞台美術」
次世代応援企画break a legの最終開催となる今回、選出されたプロトテアトルと努力クラブは、同じプランナーの手による舞台美術になります。そこで、舞台美術を切り口に、より両団体を楽しんでいただける展示を開催いたします。
劇場のエントランスでは、架空の舞台美術としてのインスタレーション作品「2002/2022」が来場者をお迎えします。
総合タイトルである『試作と努力』両団体の劇団名(プロトテアトルは「protothéâtre=試作劇場(あるいは試作演劇)」)と多くの「試作」と「努力」を積み重ねて実現する舞台美術の有り様を表しています。